育む農法について
[2008年08月13日]
「除草剤」減らす工夫
昨日に引き続き、今日は農薬を減らす工夫のうち、「除草剤」減らす工夫を紹介したいと思います。
「除草剤」減らす工夫のために私たちが利用しているのはおおまかに次の三種類があります。
①微生物、小動物(イトミミズやユスリカの幼虫など)の力をかりる。
②酸の力をかりて雑草の発芽、発根を抑える。
③機械による物理的防除、あるいは人の手でとる。
まず①についての説明ですが、秋に稲の収穫がおわりますと、豊岡では堆肥や米ぬかを田に散布して一冬の間水を張るという『冬季湛水』という作業をしています。
普通、冬の間は田を乾かして春にトラクターなどの機械が入りやすくするのが常なのですが、この時期に水を張るのは一にも二にも微生物やミミズ、ユスリカなどの小動物を増やすためです。米ぬかや堆肥をエサとして、水という生物に必要な要素を加えて環境をととのえてやると、 微生物⇒植物・動物プランクトン⇒水生昆虫・ミミズなど⇒小魚 などといった食物連鎖、あるいは生命の循環が始まります。
この中で私たちは草抑えのために、イトミミズやユスリカの幼虫の力をかりています。これらの虫は土の中の微生物などを栄養に土を口から入れてお尻からまた土を出すのですが、一冬の間に10cm近い堆積層を作ってくれます。この土はとてもキメの細かいパウダー状の土で、比重の関係で草の種が堆積層の下に沈んでしまいます。光が届かないので草は生えたくても生えることが出来ません。たかがミミズとあなどることなかれで、人間がいくら頑張ってトラクターやテーラーで土を耕してもこのような土の層は作れません。ミミズ恐るべしなのです。
草を抑えるための話とはそれるのですが、小動物や魚に害を及ぼすような農薬の使用を控えていることと、水という生き物の生息環境があることで、生命の循環が拡大し、魚やカエルなども田に増えてきます。これが最終的にコウノトリのえさになります。この仕組みが『コウノトリ育む農法』の一要素でもあります。
そして、水の力でツルンと均平された田んぼにそのまま田植えをしていくのですが、それでも残った草の種が発芽してきます。そこでとる方法が②です。
田んぼに米ぬかをまいたり糖蜜という砂糖の廃液を流し込みます。米ぬかや糖蜜が分解する過程で『有機酸』という酸が出来ます。稲は酸に強い植物なのですが、一時的に田んぼの酸度(PH)をあげてやることで、雑草の種の芽と根をやっつけてしまうというのがこの作業の目的です。でも、この作業は田植え後すぐでないとタイミングを逃したり、条件が悪いと効果が少なくなります。
(糖蜜の流し込み)

そして、最後のとりでは③の人力や機械による物理的な除草です。人の手で草抜きをするのはとても大変で、薬のない昭和初期に実際この作業をしたおじいちゃんによると、どんなに体の丈夫な男の人でも朝から晩までかかって1反を終えることは出来なかったとのこと。
下は機械除草の試験機を自分が動かしているところです。

出来るだけ楽にいいお米をつくりたいので、私たちはこの草抑えに精力の多くをつぎ込んでいます。